コミュニティ排水処理の新規事業

 このように忘れた頃にポチポチと書くのでは、とてもブログとはいえませんが…。
 コミュニティ排水処理の新しいプロジェクトが立ち上がる見込みとなりました。先に書きましたように、昨年の3月に、スラバヤで開かれた分散型排水処理の国際会議に参加したのですが、その後、これは何とかしなければとプロジェクトの形成に向けて準備を進め、JICAの草の根技術協力事業(パートナー型)として申請していたところ、このたび採択内定の通知をいただきました。
 インドネシアの都市部では今、コミュニティ排水処理が急速に広がっていく流れにあります。日本のような、大規模集中型の下水道は、多大な資金と長期の建設期間を要するので近い将来に画期的な普及は見込めず、かといって、戸別処理には、処理水質・費用・スペース等、さまざまな面で限界があるからです。コミュニティレベルで集合処理するのは、現実性のある妥当な解ですが、インドネシアでは、なりゆきにまかせると、ほとんどすべて嫌気性処理だけのプロセスになってしまいます。それでは、満足な処理水質は得られず、病原菌も残り、処理水による二次汚染も心配されます。APEXで以前取り組んだコミュニティ排水処理のプロジェクトでは、嫌気性処理と好気性処理の組み合わせにより、安価でも処理水質の良好な住民参加型のコミュニティ排水処理システムを開発したので、それを普及させない手はないと思いました。
 そのようなシステムを、広域的に、本格的に普及させていこうとするのが新しいプロジェクトの趣旨で、中部ジャワのテガール市、プカロンガン市、スラカルタ市、バリ島のタバナン県の4つの都市域にモデルプラントを設置しながら、政府関係者などにアピールしたり、人材の育成をはかったり、情報提供サービスをしたり、ネットワーク形成をはかったりと、さまざまな活動を展開していく予定です。
 これからのインドネシアの排水処理の流れに、相当な影響を及ぼす可能性がある事業なので、はりきって取り組んでいきたいと思います。


ジョクジャカルタ・クリチャック地区のコミュニティ排水処理プラント。70家族分の生活排水を処理できる。