コミュニティ排水処理システムの竣工式

今月は、中部ジャワ州テガール市のスレロックというコミュニティで、コミュニティ排水処理システムの竣工式がありました。2015年11月6日のことです。現在実施中のプロジェクトでは7基目、以前のプロジェクトの分も含めると9基目になります。テガール市では2基目です。
今回は、テガール市政府が地方政府予算で処理施設をつくり、私たちがJICAの資金で管渠をつくる、という分担でした。それぞれの家から最寄りの汚水枡へのつなぎ込みは、住民の負担です。
このスレロックの施設は、これまででもっとも手がかかったものです。特に地方政府が契約した処理施設の工事業者がきわめて劣悪で、確認すべきことをはなはだしく怠り、処理水槽の方向を東西逆に設置してしまい、配管の引き回しで対応する、という考えられないことまで起こりました。何の目的で何をつくっているのかという意識がまるでないので、配管の勾配が逆になったりもします。水槽の漏えいも茶飯事のように生じ、マンホールを開けるべきところをすべてコンリートで固めてしまう等々。ただ、先方ばかりを責めるわけにもいかず、私たちの管理も甘かったわけです。
それでもひとつひとつ対応して、やっとできたと思ったら、今度は夜陰に乗じて、回転円板を駆動するモーターや減速機が盗まれてしまうという事件がありました。せっかくコミュニティの人たちによろこんでもらおうと思ってやっているのに、そういうことをする心無い輩がいるわけです。モーターや減速機だけでなく、塩ビの配管まで切って持っていかれてしまったのにはまいりました。これらはもう新たに追加する以外にありませんでした。ポンプもよく故障するので、スクリーンを増強し、ポンプも故障しにくいタイプに替えと、抜本的な改善をしました。普通、ポンプから出た水は、流量を平滑化するために、かなりの部分がまたポンプ室へ戻ってぐるぐると循環するのですが、新たに考案した、循環しなくても流れを均すことができるショックアブソーバーというものも導入していて、これで電気の節約もできます。
そんなことをやっているうちに、本来は2014年の1月にできるはずだったものが、えんえんと延びて、ついに今月、竣工式を迎えたわけです。住民の人たちが、よく途中で投げ出さずについてきてくれたと思います。まだつなぎこんでいる家は44軒ですが、家の中のあらゆる排水をただシステムに流せばいいのは、やはり快適なようで、徐々に接続がふえていきそうです。インドネシアで普通に行われている嫌気性処理だけの施設と比べて、処理水質は格段にいいので、処理水で魚でも飼ってみたら、といっておきました。