インドネシア大学で講演

『適正技術と代替社会』のインドネシア語版出版にちなんで、バンドン工科大学で講義ができたので、次はインドネシア大学かガジャ・マダ大学当たりで・・・と考えていたら、思いがけずインドネシア大学での講演が実現しました。

ただ、今回は大学のカリキュラムの中の講義という位置付けではなく、東工大の留学生・留学生OB・OGの方々が主催している、全国学生科学技術論文コンテスト的な催しの、有力候補者のプレゼンテーション〜受賞者表彰イベントのキーノートスピーチを頼まれたもの。その会場がインドネシア大学で、参加者もインドネシア大学の学生が6割くらいでした。

本番の三日くらい前から、そのイベントの関係らしいSMSが私の携帯に入り始めました。はじめは、申込み状況を知らせるために、イベントの事務局が送ってきているのかなと思ったのですが、そのうち、もしかするとこれは、私の携帯番号が、申込み先として間違ってアナウンスされているのではないかと思いあたりました。実行委員会に問い合わせると、実にそのとおりだったのです。訂正のアナウンスはしてもらったものの、時既に遅しで、その後も続々と申込みが入ってきます。しかたないので、メールを転送したり、「まだ間に合いますか」的な問い合わせに答えたり、受付の事務も手伝い始めました。そのうち、もう100人収容の会場が満杯だというので、今度は来るメール、来るメールにお断りの返信を出しました。断った数15〜20名ぐらい。ただ、本番では、申し込んで来なかった人もいたようで、70名くらいの参加でした。断った人たちに申し訳ないことをしました。

本番は8月22日の午前中でした。インドネシア大学は、ジャカルタとボゴールの中間のデポックというところにあり、キャンパスは広大で、構内に鉄道の駅もあるくらいです。私の講演・質疑は約2時間でしたが、熱心に集中して聞いてくれる人が多く、こちらとしてもやりがいがありました。今回もインドネシア語でやりました。私の議論は、やや極端にとられやすい面もあり、近代化批判が、いわゆる「途上国」の人たちの反発を招くかもしれないのですが、参加者の顔色や彼らとのやりとりからして、おおむね受け入れられたようです。

質問もたくさんでましたが、今回は技術的な質問以外に、「企業はプロフィットをあげなければいけないが、『参加型の技術』とプロフィットをあげることは両立できるのか?」、「なぜインドネシアをフィールドとしているか、インドネシアは適正技術開発に適しているのか」、「適正技術開発を進めていくためにはどうすればいいか」、「原子力技術に可能性はあるか」、「どういう技術分野に取り組めばいいか」等、本質をついた質問や、自分たちも適正技術開発に取り組みたいという意思を前提にした質問が多く、かなり深いところまで理解してくれたと感じました。

そういう意思を持つ若い人たちをどうやって支援していくのか、こちらも大きな宿題をもらった気がします。